そうこうしているうちに、やがて私の家へと着いてしまう。

別れるのが寂しいと感じるのは、私が先生にすっかりハマってしまった証拠だろう。


別れ際、もう一度軽くキスをして貰って車から降りた。



振り返って手を振ろうと手を上げたら、その腕を誰かに掴まれた。


「なんでこんな遅くに帰ってんの、お前?」


兄貴の凱、だった。


「……兄貴に関係ないし。てか手を離して」


自分から、振り払うように手を離した。凱は何を思ったのか、先生の車から視線を外さない。


「……白いインプレッサ、ねぇ……?しかもFF、スカルのエンブレム」


インプレッサっていうのか、あの車の名前。


だけど兄貴はゆっくり先生の車に近づき……ガン!!とタイヤを蹴飛ばした!

ちょっとぉぉぉ!?


「出てこいよ」


薄ら笑いを浮かべた兄貴に腹が立ったのは一瞬で、運転席から先生が出てきた時にはギクリとした。