その後先生に、上り坂を3回、下り坂を2回走って貰った。上り坂より下り坂の方が絶対楽しい。



ロータリーに設置してある自販機からココアを買ってくれて、喉が渇いていた私はありがたくそれを受け取る。



「……峠攻めにオンナ連れて来たことねーんだ、実は。つーか攻める時に、助手席には誰も乗せた事は、ねぇ」



ブラックの缶コーヒーを啜りながら、先生が言った。



「なんで?」

こんなに楽しいのに。


「オンナはどうせ大体は喚くか怖がるかどっちかだろ。けど、お前なら違うと思ってた」

「どうして私なら、違うの?」

「……お前は、度胸が据わってるから。一緒に走ったら楽しいだろうと思った」


そりゃ確かにそうだけど。兄貴のせいで、度胸も何も据わってしまって怖いもの無しだけど。


「へへっ。まーね」

自慢気に顔を上げた瞬間、落ちてきた先生の影。


唇に当たったのは、温くて弾力がある私と同じモノだった。


キスされてるんだー、なんてぼんやり考えて、されるがままにそれを抵抗もせず受け入れると、舌で下唇を舐められた。隙間から入って、口のナカを暴れまわる、先生の舌。


初めてだから、どうすれば良いのか分かんない。だけど、先生の舌が私の心までかき乱してる事だけは、分かる。