深層融解self‐tormenting

「分かってねーな?あのさ、華音が大学に慣れた頃に言おうかと思ってたんだけど」

「うん?」


言おうかと思ってたんだけど?何を?


「……一緒に、暮らさないか?マンションとかアパートを借りて」

「………なんで?」



しっかり固まること30秒、ようやく口に出たのはその言葉だった。



「なんでって……。お前、何でか知らねーけどやたらトラブルに巻き込まれるし、おちおち安心してらんねーし。それに」

「それに?」


先生が後ろから両腕で私を胸の中に閉じ込めた。




「将来の、予行演習。何があっても、離れないし離さないって。今日はつくづくそう思った」

「え。えー…。急に言われても。うちのお父さんがなんて言うか……」



うちのお父さん、いつもは放任主義だけど、そういうとこだけは厳しいからなぁ。



「お前は?お前自身は嫌か、俺と一緒に住むのは?」


嫌か…って。そんなの。


「ヤ、じゃない」


嬉しいに決まってるじゃん。


「だけど私生活でも恥ずかしい部分を見せるのは、ちょっとゴメン下さい」

「馬っ鹿。そー言うのも全部含めて知った上で、一緒になりてぇの!」


一緒に?一緒にって。一緒になりたいって。


「せんせ、それって……!」


思わず先生の方を振り返り、真っ赤になったお互いの顔を確かめた時。



「さーくらくーん!! 貴重品は部屋の金庫にしまっとかないとー!」


げ。なんでこのタイミングで春臣!?


しかも。



「有名ブランドショップの紙袋なんてさぁ、盗んで下さいっつってるようなもんだよねぇ?これもしかして中身は指輪とか言う?」



兄貴の馬鹿!!!! 今ので全部台無し!!!!



「まず、さっきの答えは2~3日内に出してくれよ。あ…と、今アイツらが言ってたヤツは、仕切り直しさせろな」



先生が慌てて脱衣所の酔っ払い達を追い払いに行く。


その隙に私も上がって浴衣に着替えた。



……まさかの告白。


だけど。



乗り越えられるかな?



例えばゆず達の家族に起きたような辛いことも、この先経験するかも知れない。


それでもお互いを信じて、一緒に歩いていけるのかな?



何とはなく海を振り返ってみた。



桜の花びらが一枚、潮風と共に胸の中にはらりと舞い落ちてきて。



……頑張れって言ってくれてるの?



信じて良いよってことなのかな……?




「……ありがと、ゆず」



海に向かって一言呟いて、私も先生達の後を追って駆け出した。




■Be together■ end