深層融解self‐tormenting

露天風呂は一応男性用と女性用の更衣室が分かれていて、一旦その中で服を脱いで、恐る恐る露天風呂に行ってみる。


……良かった、誰もいない!



全く知らない人がいたらって、それも気にしてたんだよね。




露天風呂は海辺の岩場に設えてあり、夜の海が一目で見渡せる。



漁に出ている沖合の漁船から漏れる小さな明かりが水平線に犇めいて、とても綺麗だ。


上を見上げれば、春の星座がきらきらと瞬いて揺れている。



潮風が温泉の湯気を巻き上げて、潮の香りが心地好く眠気を誘う。



昼間にはあれだけ寝たのに、もう眠くなってきたよ。



つい、うつらうつらしかけた私の背後から、然り気無く近付いてきた先生が私に抱きついてきた。




「……せんせ。ねむい」


口許を押さえてくあっと小さく欠伸を漏らした。


「夢見るぐらい昼間に爆睡してたんだろ?寝せねーから、今夜は」



いや、ここ半日で色々あって疲れたじゃん。もう寝ようよ。



「……本当にその傷、大丈夫かよ?」

「んー?もう痛くないし……って、あれ?」



先生に言われて思い出すぐらい、踵の傷は傷んでいなかった。


変なの。4センチ近くの傷なのに。



行儀が悪いとは思ったけど、傷がある方の足だけを湯船から上げて傷を確かめてみた。



「うっそ……」

「傷が塞がってねーか?」


正しくその通り。


傷はすでに瘡蓋になって、皮膚を塞いでいた。


「なんで?なんでこんなに治るのが早いの?」


普通なら、まだ血も止まらない状態だよね?