深層融解self‐tormenting

「……ゆずが最後に言いたかったのは、お父さんとお母さんに戻って欲しい……って事じゃないのかな?」



お父さんとお母さんの話をする時に、ゆずは言っていたじゃないか。



「ゆずは、自分のせいで二人が別れたって苦しんでるみたいだった。『ゆずが海にボールを落としたから』って自分を責めてた。だから、だから……」



ゆずはまだこの家に、《留まっている》んじゃないの?




「柚希が自分を責めてた……んですか?」

「そう、言ってましたよ」



そうですか……、と呟いて、お父さんの方が桜の木を見上げた。



「……あれほど夢でもいいから柚希に逢いたいと願ったのに、柚希は私の所には来てくれないんですよ」


静かにはらはらと涙を溢しながら、お母さんの方が私に話しかける。



「……それでもあなたの夢に出てきたということは、柚希なりに私達の事を心配してくれてたから……なんですよね。……それなのに…っ」



言葉の最後は号泣に変わり、聞き取れなくなっている。


号泣するお母さんの側に近寄り、お父さんがその肩を抱いて再び桜の木を見上げた。




「……華音。行こう」


先生の言葉に頷いて、私達はその幻想的な空間から立ち去ろうとする。