深層融解self‐tormenting

ゆずの姿を追って、とうとうあの家屋へと辿り着いた。



あの家屋と庭園は、夢で見たものより少し荒れていて、手入れが行き届いていない感じがする。


だけど、人が住んでいる生活感はある。




庭の中にいるはずのゆずの姿を探しているのに、隠れたのか消えたのか、まるでそこにいる気配は感じられない。



……だけど、ゆずがこの家のどこかにいるって事だけは、なんとなく分かるんだ。



桜はやっぱり見事な程に咲いていて、夢の中と同じようにはらはらと花びらを散らしている。




そして見つけた。





一番大きな桜の木の下に、ゆずがいつも抱えていたあのボールがあるのを。




……あの木の下に、『いる』の?


そろりと木に近付き、あのボールを手に取った。


そうすれば、ゆずが出てきてくれるんじゃないかと思ったから。




「……ゆず?」



でも、なんだかんだ言ってもやっぱり怖かった私は、震える声でゆずの名前を呼んでみた。