深層融解self‐tormenting


だけど、こんなに綺麗な場所なんだもん。花見と称してはどんちゃん騒ぐ輩には荒らされたくない景色だよなぁ。

兄貴達みたいな人に知られたらこの場所が蹂躙されてしまうから、ここはそっとしておくべきなんだよね。



「……かのんちゃん、おだんご、たべる?」



ゆずは、さっき私が海で拾ってあげたボールをまだ抱えながら、にこりと笑ってみたらし団子を奨めてくれた。


ゆずがぱくりと一つを食べたのを見ると、折角奨めてくれたんだし…そう思い、私もお団子を頂いた。



「おいし」

「えへ。良かったぁ」


にこにこ笑うゆずは無邪気で、さっきみたいないたずらをして、大人を困らせるような子には見えないんだけどなぁ……。


それに、この景色に佇むゆずを見ると、まるで儚げで頼りないぐらいに弱々しく見えるんだけど。



薄茶色でくるくるふわふわの柔らかそうなゆずの髪の毛が、桜の薄紅色と相まって、纏う雰囲気も柔らかいものなのに、どうしてあんないたずらしてたんだろうね?




「ゆずのパパとママは、違う所で働いてるの?」


桜吹雪に目を奪われながら、横にいるゆずに、何とはなしに聞いてみた。


ご両親も、旅館で一緒に働いているんだろうか?



「……パパとママは、今はもういないの……」


だけどゆずからは、意外な答えが返ってきて。