「……やっぱ勉強、教えて下さい……」

《頼むから塾にでも行って授業内容に追い付いてくれ!!》と、学校の数学の先生に泣き付かれてなかったらこんな事絶っ対頼まない。

自分でもどうにも出来ないとこまで成績落ちてるって、分かってるし。


ええい、いいや。この際変態でも仕方がない。いざというときは殴って逃げればいいし!



『はい、交渉成立。日曜日な』


今日、あの後温和さんとどの店に入って何を買ったのか思い出せないくらい精神的ダメージを私は食らっていたのに。

アキせんせーのせいで、私は、きっとずっと上の空だったに違いない。そんな様子を見て更ににやにやしていたこの数学教師は、絶対変態だと思う。





「は?特別授業!?なにそれ!?」

そして翌日の昼休み。舞にこっそりアキせんせーの事を話すと、予想通りの反応。

分っかりやすい。

「ん、春臣と同じ学校のセンセーと仲良くなった。そんで、塾行かなくてもすみそう」

「塾はどうでもいいけど、そのセンセーもカッコいいの!?てか、宮藤先生もイイ線いってるよね?鷹嘴先生には負けるけど」



……ごめん、舞。イケてるの基準がまず分かんない。大体それに顔がイケてるとどうなの、何か特別なの?


「あー……。ごめん、よく分かんない。でも多分カッコいいんじゃない?昨日周りのオネーチャン達がガン見してたぐらいだから」

「はぁ!?アンタ昨日デートしたとか言う!?」

「いや?その人のお姉さんとデートした。それにその変態がついてきた」

「……カッコいいのに変態って、何だよ」




普通はしないよね、ああいうこと。