ペンションに戻ってからは、煩い奴等にみつからないうちにと華音を先に女風呂に行かせ、それを見届けてから俺も男風呂に行った。



途中で食堂を通り掛かったら、案の定女癖の悪い教師と、不良教師、それに元不良君がクリスを相手に何だか聞くに堪えないような猥談で盛り上がっている。




おいおい、アイツ大丈夫かよ?


女に対して、変な免疫つけて国に帰るんだろうな。可哀想に。

でもまぁイタリア人だから大して変わんねーかな。



クリスの事も心配ではあるが、ものすごく久し振りの華音との二人きりの時間を邪魔されたくはないので、俺は奴等に見つかる前に早々にそこを立ち去った。







風呂から上がり、部屋に戻って備え付けの冷蔵庫からビールを一缶手に取るのと、華音が部屋に入ってくるのは同時だった。


「随分遅かったな」

「う…ぅ」

「何、う…って?」



風呂で逆上せたのか、華音の顔は真っ赤だった。

「長風呂で逆上せた?顔赤いけど?」

華音の顔に手を伸ばして、然り気無く近付いてみると、華音は威嚇せんばかりに手を振り払った。


「荷物、見てない…よね?」

「あ?荷物?」


華音の視線が自分の荷物…小さめの旅行用キャリーバッグに定まっている。

「何で?何か隠してんの?」

「なっ!何も隠してません!」

なんでいきなり敬語なんだよ。