「あの様子だと、鷹嘴さんの一人勝ちだな。御愁傷様」

「……あのさ、クリスはあの3人に囲まれてて大丈夫かな?なんか悪い事ばっかり仕込まれそう」



あの3人ならクリスに色んな事を吹き込みそうで、それはそれで先行き不安だ。




「……折角日本に来たんだから、楽しいことも教えて貰った方が、アイツの人生経験の役には立つんじゃねーの?大体、お前の事ばっか考えてた夏頃より、アイツの表情が豊かになってきてるようにも見えるけどな」


確かに。



言われてみれば、最近クリスは先生の前でも、よく笑うようになった。



「……あの3人に任せとけば、ちょっとは安心……できるのかな?」

「分かんね。けど、多分アイツはもう、大丈夫だと思う」


そこに残る4人の上にも、雪は降り続けていく。


車の窓に貼り付く雪の結晶を見ていたら、それが一つ一つ違う形をしているのに気が付いた。


私達も、同じ。


一人一人、違う個性を持ちながら、互いに集まり交わり合えば、一つの形を成していく。それは不変では無いだろう。


けれど、今繋いだこの手の温かさは、この瞬間だけは、永遠に記憶していく。


だから、先生と交わるこの行為にだって、何か意味がある事なのだろうと思う。


いや、先生に、教えて貰って初めて知った。

先生が、執拗に私を求めるその意味も。




だから、私を囲むこの世界の果てまでを、見たい。


そんな私の隣には、いつも先生がいてくれたら良いのにと願って、その寝顔に向かって囁いた。





―――先生、大好き―――







††end††