遅れてやって来たランチアの助手席から、春臣が降りてきて、私の横に立った。
「一回コースを回って道を覚えたら、次本番な。三周勝負で。ゴールは宮藤サンに見届けて貰うから」
「分かった」
車から降りもせず、運転席越しに交わされた先生とクリスの会話を、他所の世界事のように聞いていた。
雪は、まだ降り続けている。
視界が悪いこの中で、どうか二人が無事でありますようにと願いながら、その車影を見送った。
「何、心配?」
「だって条件が悪すぎるじゃないよ」
茶化すように私に絡んでくる春臣に、悪態をついた。
「あの二人なら、大丈夫でしょ」
心配なさげに軽く笑い飛ばす春臣に、雪玉を作ってぶつけてやった。
その時遠くのスタートラインに立っている兄貴が大きく手を降り下ろした。
ほぼ同時にスタートを切る2台の車。
雪を払いのけながら、その行先を見守った。
頭一つ分、ランチアが先に出た。
急ハンドルを切りながら、ドリフト音を響かせて、ランチアのタイヤが空回りする。
続けて、インプレッサが氷で横滑りして、怖くなった私は春臣の腕にしがみついた。
三周目、最後のコーナー。
車が撒き散らす音は、段々こちらに近づいてくる。
「一回コースを回って道を覚えたら、次本番な。三周勝負で。ゴールは宮藤サンに見届けて貰うから」
「分かった」
車から降りもせず、運転席越しに交わされた先生とクリスの会話を、他所の世界事のように聞いていた。
雪は、まだ降り続けている。
視界が悪いこの中で、どうか二人が無事でありますようにと願いながら、その車影を見送った。
「何、心配?」
「だって条件が悪すぎるじゃないよ」
茶化すように私に絡んでくる春臣に、悪態をついた。
「あの二人なら、大丈夫でしょ」
心配なさげに軽く笑い飛ばす春臣に、雪玉を作ってぶつけてやった。
その時遠くのスタートラインに立っている兄貴が大きく手を降り下ろした。
ほぼ同時にスタートを切る2台の車。
雪を払いのけながら、その行先を見守った。
頭一つ分、ランチアが先に出た。
急ハンドルを切りながら、ドリフト音を響かせて、ランチアのタイヤが空回りする。
続けて、インプレッサが氷で横滑りして、怖くなった私は春臣の腕にしがみついた。
三周目、最後のコーナー。
車が撒き散らす音は、段々こちらに近づいてくる。

