深層融解self‐tormenting

一人、急いでスキー場に戻ると、喫煙所に突き当たった。


「早速何の勝負やってんだ、あの二人」と、鷹嘴先生。

「勝ったら華音と同室になる権利でも賭けてんじゃね?」と、馬鹿兄貴がヘラリと笑う。



どうでも良いけど二人とも目立ちすぎ!何なの、このギャラリーは!!

「あのオーリーマジヤバくね?」

「さっきの360超凄かった!!」


……私いなくても、アンタら二人とも仲良いじゃん。ちくしょう。やさぐれてやる!



夕方までには、何とか私も中級者コースまで行けるようになった。

うん。春臣と温和さんと安藤先生のお陰でね!!


そして温和さん達と滑ってたら、今頃先生とクリスが競いあって上から猛スピードで滑って来たし。


「おま!!どこに行ってた!?探したのに、どこにもいなかったじゃねーか!」

……それを貴方が言いますか?


「カノン!!遭難してたらどうしようかと思ってた!!」

……遭難だけに、そうなんです、とか言えば良いのか?



アンタ達が勝負に夢中になってて、私を放っといたんでしょうよ!!




「……もうお腹空いたから、上がろっか」


場を取り成すように温和さんが言ってくれたが、私の機嫌は、夕御飯ぐらいじゃ直らないんだからね!


私は二人を見捨てて、温和さん達の後を追った。