深層融解self‐tormenting

あれ?兄貴と鷹嘴先生は?


「……だってタバコ吸えないでしょ?」とか言って、二人仲良く喫煙所でまったりと休んでいる。


何しに来たんだ、アンタら。ナンパか。ナンパ目的か。


リフトに乗って、降りる時からコケてしまった私に対し、先生とクリスのまぁスマートに降りることと言ったら。



滑るのも二人とも上手くて、それを見ていた女の子達がキャーキャー騒ぐのも無理はないと思った。



良いですよ。私はマイペースに降りますから。


五回も登って降りてを繰り返しただろうか。トイレに行きたくなったから、その旨伝えてトイレに行くと、温和さんとバッタリ会った。


温和さん達は、上級者用のコースに出ていたので、コース内では会わなかったのだ。


「どう、華音ちゃん。スノボは楽しい?」

「へへ。先生達の教え方が上手いから、何とか滑れるようになりました」


本当は滑るって言うより、転がるって言った方が近いけどね。



「ちょっと疲れたね。コーヒーでも飲もっか」

温和さんに誘われて、喫茶コーナーで紙コップのレモンティーを買って椅子に座った。

「スキー靴を久々に履いたら、足が痛くて……。合わなくなったのかしら?」

温和さんが靴を脱いで、足をこきこき鳴らしているから、もう暫くそこで休もうか、と話していた時。


「なんか、二人のちょーイケメンがスノボでタイムアタックしてるっぽいよ!!」

「さっき見た見た!一人は外人っぽくない!?」


温和さんと顔を見合わせて頷き合った。


まさかとは思うけど。