……となると、話しているのはポルトガル語……?

にしても、聞き取り難いのは、やはりポルトガル語でも訛りがある地方の言葉か、それとも若者が使う隠語で話しているせいなのか。



コイツら一体、どこの国の奴等よ?


その中の一人が、気絶した振りをしている私に近付き、右腕を乱暴に持ち上げた。



そして、思いっきり横っ面を叩かれる。


あまりの痛さに、とうとう目を開けて相手を確認すると、若いが人相の悪い凶悪そうな瞳が、まず目についた。

黒髪の癖っ毛を短く刈り込んで、耳にはピアスが三つずつ付いている



今度はソイツが右腕の肩口を引っ張り、制服の袖をビリっと引き裂いた。



「カイへの、見せしめだ」


片言で喋る男の日本語に、恐怖が倍増した。



男は加虐心からか、私の口に貼ってあったガムテープを勢いよく引っ剥がした。


そして私の腕を持ち上げたまま、その男は私から視線を外さずに、指を鳴らして何事かを回りの男達に指示する。


逃れようともがいたが、更に頬を叩かれ、髪の毛を掴まれた。