どこだろ?ここ。

嗅がされたのが何の薬かは知らないけど、頭がボーッとする。体の節々が痛い。


寒い。


回りを見回して見ても、ここが何処なのか、特定出来るようなものは、何もない。


真っ暗な部屋に、後ろ手でロープで縛られている。ご丁寧に、口にはガムテープまで貼られてるし。



部屋の中には私一人が転がされているだけ。本当に何もない、殺風景な部屋で、場所の特定に繋がるような物は窓一つすらない。


痛む体を無理矢理起こして、何とかロープをほどこうとしたが、固く結ばれていて、それは叶わなかった。


携帯を学校に置いてきたから、誰かに連絡を取る手段すらない。



兄貴のせいでよく不良には絡まれたし、修羅場にも慣れてきたつもりだけど、今日だけは、生まれて初めて《恐怖》ってものを実感している。




暫く手首のロープと格闘していたら、俄に部屋の一画が明るくなった。四角く切り取られたように、その箇所だけが明るい。




誰かがドアを開けて入ってきたのだ、と察知した私は、咄嗟に気を失っている振りをした。


部屋に入ってきたのは4~5人程、いずれも若い男ばかりのようだった。

ただ、話している言葉が分からない。


ソイツらの会話の中に「カイ」とか、「警察」と言う単語を聞き取れたのだが、英語ではなく、どちらかと言うと訛りが強い、イタリア語に近い気がする。