どうやらクリスは、無事に中に入れた様子だ。


険しい顔をして黙って携帯から流れてくる声を鷹嘴さんは聞いていたが、漏れ聞こえる店内の会話から「クスリ」だの「一袋」だの、物騒な言葉が聞こえてくる。

おい、これ本気でヤバいんじゃねーか!?


助手席で、それらを聞いてた宮藤サンも、自分の携帯を取り出し、どこかに電話を掛けている。

「……あ。岩さん?俺だけど。そう、俺俺詐欺師。岩さんって少年犯罪専門だっけ?ま、いいや。あのさ……」


緊迫した雰囲気が漂う中、鷹嘴さんが不意に俺を見た。



何か書くものを、と、口パクで伝えてきたので、胸のポケットからペンとメモ用紙を鷹嘴さんに渡す。





『この建物の横、廃ビルの地下』





それだけ見た俺は、瞬時に車から降り、その場所に向かって走り出した。