どこのクラスからも、帰りのSHRを終える号令が聞こえてきた。


ミゲルのクラスは2-Bだったが、俺と宮藤サンはその教室に近い会談下の踊り場で、クリスが来るのを待っていた。



やがて、廊下の向こうから、ペッタペタとスリッパの音を響かせて、クリスがやって来た。


俺とクリスは、無言で目線を合わせて、頷いた。


やがてクリスが2-Bに入り、何分間か経つと、クリスとミゲルが肩を並べて教室から出てきた。


慌てて俺達も一旦戻り、靴を履き替えてその後を追った。


校門を出た辺りで、鷹嘴さんが車を寄せてきたので、それに飛び乗る。


「上手く、相手方まで辿りつけますかね……?」


今まで吸っていたらしいタバコを灰皿に押し付けて、鷹嘴さんが両手を挙げた。


「……この線が消えちまったら、もうアウトだ。何せ情報源が少なすぎる。上手く相手のとこまで行ってくれりゃ、いいけどな」

狭い車の中で、息を潜めてクリス達を尾行する。その一分一秒がやけに長く感じられた。



クリス達が、繁華街のとあるクラブに消えていった。焦った俺は、自分も中に入ろうとしたが、宮藤サンと鷹嘴さん、両人に止められてしまう。


「もし店内に入れたら、自分の携帯を常に通話状態にしておくようにクリスに言ってある。だから、店の中での会話はこっちに筒抜けだ。まだ動くんじゃねぇよ」


そして、携帯を自分の耳に当てた。