とにかくどうにかして華音を探さないと。


もう警察沙汰にしようかとも思ったが、それは宮藤サンと鷹嘴さんに止められた。


じゃあどうすりゃいいんだよ!!


どこを探せば良いのか分からない。相手からの指示もない。

……となれば、華音が無事でいられる保証もねーだろ!!



「……は?ブラジル人の留学生?確かにうちの学校にいるけど。ミゲルって奴ね。何、今からクリスを?確かにね……。奴等はそういう筋は通さないからな。分かった。クリスを直ぐに寄越せ」


それだけ言うと、電話を切った。



「……在日ブラジル人による犯罪も様々あるが、車上荒らしや自動車窃盗、部品窃盗、覚醒剤の販売なんかが特に多い。特にブラジル人の少年犯罪は急増していてな。ブラジルの不良少年が、日本のクラブやディスコを使って、その活動の拠点にすることがよくあるってぇ話だ。………と、なれば」

「……クリスを、ミゲルに会わせてどうする気で?」


最早言いたい事はよく分かっている。


「もし、ミゲルがそういう場所を知らないならいいが、もしかしたら知ってるかも知れない。で、知ってた場合、俺ら日本人の、しかも教師に知ってる事を話すとは考えにくい。……そこで、だ」

「……顔がバレてない、しかもイタリア人のクリスが、ミゲルに接触すれば、或いは上手く相手の本拠地が分かるかも知れない。そういう事で?」

「まあ、そんなとこ。一応華音のとクリスのスマホを持たせて、GPS で後を追えるように設定はしておいたらしい。鷹嘴が、クリスを連れて来るってさ」

「上手く、華音の居場所に当たってくれれば良いんですが……」


件のミゲルは、可もなければ不可もない、取り立てて目立たない留学生だった。

ミゲルが放課後、どうしているのかは知らない。その交友関係も、学校内では特に目立って仲良くしているヤツがいるとは聞いていない。


ミゲルがクロかシロか、それは分からないが、今は藁にでも縋るしかない。