黙って電話をタカノハシに差し出す。


「……いや、幾つかは凱が潰してる。こっちの後ろ楯には、鴟嶋(とびしま)組の協力を得ることが出来たんでな。鴟嶋も例の外人さん達に市場を荒らされてて、腹に据えかねてたところだ。アイツら、図に乗りすぎた」


それからは、アキの話を聞いていたタカノハシだったが、徐に口を開いた。


「待て。今分かってるところが、幾つかはある。凱が今日明日で潰すところをメールで送る。……それ以外の?多分、無いとは思うが……。ただ、潰してるのは日本で集めた若い奴等のアジトだけだ。大元がどこにあるかは、まだ分かってねぇ」



相手のアジトの話か?緊張を解かず、タカノハシの一言一言に耳を傾けた。



「……ただ、雲母がどこに拉致されたのかは分からねぇ。八卦だな。闇雲に動いても、敵さんの思う壺だぜ?は?いや、ソイツらの後ろには、どの組もいねぇらしいが……」



電話の向こうから、アキの取り乱した怒鳴り声が聞こえる。