その辺り一辺を探したが、カノンに繋がる何も出てきはしなかった。


既に、連れ去られてしまった後なのか……!?


自失としている間もなく俺は身を翻し、タカノハシの元へ走った。


途中、カノンが置き忘れた携帯を片手に持ち、本来ならば一番頼りたくない相手……。アキに電話をかけた。



幸い、アキはたまたま授業がなかったらしく、ワンコールで出てくれた。



『華音か?どうした、今、授業は……』

「カノンがいなくなった」



それを一息で喋り、階段を駆け上ると、いつしか理科準備室の前に着いていた。


『……お前、クリスか?華音がいなくなった?詳しく話せ』



マイから聞いた話を、そのままアキに伝える。

理科準備室のドアを開くと、有り難い事に不良教師は、そこに居た。



タカノハシも怖いぐらいに真剣な顔で話を聞いている。



『……総合するに、華音は友人が危ないと呼び出されて、連れ去られた……。そういう事か?』

「……そうなる。………悪い……」




カノンから目を離すなと、皆に言われていたのに。カノンを守りきれなかった、俺のせいだ。



『……そこに鷹嘴さん、いるか?いたらちょっと替われ』


俺の泣き言には耳を貸さず、アキはタカノハシに電話を替わるよう指示した。