それにしても……。


「春臣は、どうしてあそこが分かったの!?」


ドリンクバーからコーヒーを持って戻ってきた春臣に向かって、そう聞いた。


「コイツに呼ばれた。お前らが後をつけてきてるから、ヤバい目に会うんじゃないかって」


春臣が指を指した先には、鷹嘴先生。


「凱に頼まれて、俺はあそこに行ったんだよ。何でも、外国ではリーガル(合法)な酒をアイツの店に置くよう、とある筋から圧力をかけられていてな。外国ではリーガルでも日本じゃイリーガル(非合法)って事も侭ある事だから、俺が行って現物見てから取り引きに応じるつもりだった訳」


……鷹嘴先生、今『凱に頼まれて』って言わなかった?え?あれ?


「……鷹嘴先生は、うちの愚兄をご存じで……」

「知ってるも何も、鷹嘴は元heavenのアタマなんだけど。凱の前のトップね」



………はいぃぃぃぃ!?



聞いてないぞ、知らないぞ、そんな事!!


「だからアイツ、いつも厄介事は俺に押し付けるんだぜ。面倒くせぇ。おい、アイツに今日帰ったら言っとけ。面倒事に人を巻き込むなってな」

「あら。華音が固まった。なに知らなかったの?鷹嘴が元heavenのトップだったって。凱が頭上がんない一人だよ、鷹嘴は」


左様ですか。


「で、今日のそのブツってのはどうだった?」

何事も無かったように、春臣が鷹嘴先生に聞いていた。

「駄目だ。完全にアウトだった。飲んだら幻覚どころかあの世行きだ」


そそそんなアブナイ物を取り引きしようとしてるんですか、うちの愚兄は!!