深層融解self‐tormenting

次の瞬間、自分の目を疑った。


鷹嘴先生が無言で、長い足を払って相手の脇腹に強烈な蹴りを入れたのだ。続けて、背後から忍び寄った男には捻りの効いたボディブローを。うわ、あれ痛そう。


えっ、これ何!?どうなってんの!?


既に安全な位置まで私達が春臣に確保されてるのを見届けると、鷹嘴先生は向かってくる男達を次から次へと薙ぎ倒していく。


それはそれは手慣れたもので、鷹嘴先生が並々ならぬ力量の持ち主だと言う事は、目の前に類々と横たわっていく物も言えなくなった男達が物語っている。



とうとう最後には、立ってるのが私達と春臣、鷹嘴先生だけになってしまった。




「何でこんなとこに来た、華音?」


低く唸るような春臣の声が、珍しく怒っている事を表している。



えと、何て説明すれば良いんだろ?


「仔猫達が無事だったんだから、それで良いだろ?」

と、鷹嘴先生が取り成してくれた。


「今度からはこういう所で、凱やheavenの名前を出すなよ。こんな面倒事に巻き込まれるから」


めっ、と赤子を叱るように顔をしかめた春臣に、ただひたすら頭を下げて謝るしかなかった。



すっかり暗くなってしまった外に出ると、急に空腹だったのを思い出した訳でありまして。


「何、お前ら腹減ったの?」



呆れたように春臣が言う。

減りましたよ。何せ昼前からあそこに軟禁されていましたのでね。



そこで私は「腹減った」と駄々をこねたんだけど、それにうんざりした春臣の提案で、皆で少し離れた場所にあるファミレスへと立ち寄った。