深層融解self‐tormenting

つーか舞も舞だけど、兄貴は兄貴で何をしでかしたのさ!?


そして店の階段を下りるように言われ、一つの殺風景な部屋に通された私達は、ただひたすら嵐が過ぎてくれることを願うしかなくて。


「あのー……。一体、どういう理由で、拘束されたんですかね、私達」


恐る恐るリーダー格の男に聞いてみた。


「……凱の回りの人間が、金を持ってくるって話だったんだが……。お前らじゃないのか、それとも凱に一杯食わされたのか……。どっちにしろ今日はこのまま返すわけにはいかねぇな」


凄味を利かせるこの人達に、逆らう術などあるはずもない。

私と舞は、ただ黙って部屋の隅で大人しくしていた。


そうやっている間にも刻々と時間だけは過ぎていく。昼前だったはずが、今はもう夜の7時を過ぎている。


携帯を使って誰かに助けを求めようとしたが、圏外のマークが虚しく映るだけだった。


と、そこに響く、何かを殴るような音。それと同時に、誰のものなのか悲鳴が混じっている。


何事!?


舞と顔を見合わせた時、部屋のドアが勢いよく開けられた。ドアから顔を出したのは……――――。



「春臣!?」



春臣がドアを開けると、中にいた数人の男達に回りを囲まれていた。


「あらら。つー事で、こっちもヨロシク」


誰に向けてか、春臣は横を向いて、そう嘯いた。春臣の他に、誰かいるのかな?


瞬間、一人の男が吹っ飛ばされた。



「手前ぇも、ちったぁ手伝えや」


私と舞は顔を見合わせて驚いた。


だって、この声……――――。