深層融解self‐tormenting

……だってね!シートだって普通のシートじゃなくて、固くて薄いシートなんだよ!?

それに床だって、後ろの座席にはマットも敷いてなくて鈑金がむき出しだよ!?


「こんな車でごめんね華音ちゃん。助手席が一番酔いやすいのよね……うぷっ」


温和お姉さん確信犯ですか。自分が乗りたくないから私にこの席を押し付けた訳ですね。

……そして既に車酔いしてますね。



「……この車、何なんですか?」

「それ今語って言い訳?一日中話できるけど」

「……やっぱいいです」


アキせんせーの車がとてつもなく乗り心地が悪いと言うことは分かった。

そしてもう一つ分かっている事と言えば、店に着くまであと20分ほどこの車の中で我慢しなければならないと言うことだ。


「………きもちわるい……」

「……可哀想な事をしたわ……」

「ガタガタガタガタうっせぇよ。水でも飲めば良くなるだろ」


ようやくSC に着いた私達は、ファストフードで一休憩している。


「……私の胃が、300グラムのサーロインステーキと250グラムのハンバーグとグラタンとオムライスを要求しています。空きっ腹にあんな運転されて胃が怒っています。なんとかして下さい。そしてプリンパフェも付けて下さい。そうしないと今ここで吐くぞと言っています」


10時半なんて早いだろ!普通お昼ご飯に合わせて11時とかじゃん。


アキせんせーを睨み付けて抗議したら、ちょーっとだけスッキリ。ここは何か奢らせよう作戦。


「……ごめんね華音ちゃん私が……」

「いいよ姉さん。俺がコイツに奢るから」

アキせんせーが温和さんの肩に手を置いて、後ろに退けた。


「お前、本当に飯食ったら機嫌良くなるんだろうな?」

「善処する」

やった!!奢って貰えるの!?