『で、お前、文化祭いつ?』


定例の先生との夜の電話。だが今日は少し口調が違っていた。


あの、いつも「お仕置き」って言ってる時のサディズムが、電話を通して見え隠れしているのだ。


「分かんない。話し合いのHRで寝てたらいつの間にか決まってた。なんか喫茶店らしいよ。私は裏方だし、わざわざ来なくてもいいよ?」

『そっか。じゃ、文化祭がいつなのか決まったら教えろな』

「うん、あの、ね。それで、今度の日曜日は急用が出来て、勉強会が駄目になった。ごめん」

『………お前はさ、寂しいとかは思わないんだ?』

「思うけど!急用が出来たんだってば」
『……ああ、そうだったな。俺も寂しい。だから、楽しみに行ってみるな、《文化祭》に』




ばっ……バレてる!?



『ついでに言うと、裏方でもないだろ。俺が何も知らないとでも思ってんの?お前の事、ずっと見張っててやる』



ひいぃぃぃ!!おっかねー!!



『じゃ、おやすみ』

最後は脅し文句で先生との電話は切られた。

先生が来ることを考えたら、心臓がばくばくしてきて落ち着かない。


そんな時、トントンとドアをノックしてクリスが顔をひょこっと覗かせた。


「アイツとの電話、終わった?」

「あ。まぁ、ね」


思わず苦笑した。盗み聞きしてたの、クリス?


「呼んだら良いじゃん」

「へ?なんで?」


だってクリスも、先生の事は嫌いでしょ?先生も嫌ってるけど…………。

「明後日は、アイツに見せつけてやるから」



こっちはこっちで、苛虐スイッチが入ってしまったらしい。


あーあ、どうなる文化祭!?