深層融解self‐tormenting

彼女達の中の一人が、聞こえるか否かの声で私に向かって呟いた。



「気紛れオンナ」



気紛れって言われた。でも別に、気にしてないしー?


………あとでテメェ覚えてろよ。体育館裏呼び出すかんな。

……なーんてね。やんないけどさ。





「……はは。女子がすごい騒いでると思ったら、クリス君の事だったんだね。よろしく。俺は高梨明。雲母さんと同じ大学を目指してる。クリス君も、一緒にやる?」

高梨君はもう先に図書館に来ていた。

優しい高梨君はクリスにも気を使って、私の横の椅子を勧めてくれた。

なんていい人だろう(二回目)。


そして最初から高梨君を敵対視してるクリス。

いかんいかん、何か誤解してないか?

高梨君と私はそう言う関係じゃないからね。ただの勉強仲間として、受験まで一緒に戦う仲だからね。


高梨君に失礼な事したら、私が怒るからね。

つーかメリケンサック使うからなマジで。


「……お前、カノンをどう思ってる?」


………初っぱなからそれかーい!!


クリスの頭を図書館の机に沈めてから、英語の教科書を開いた。