深層融解self‐tormenting

先生も私も、お互いに触れ合いたいに触れない、いやもっと深い行動をとりたいのにそうできない、もどかしさがあって。

それでも抱き着く、ぐらいまではされたけど。先生の香水をつけられたけど。


「俺の臭いじゃない奴の臭いつけてんなよ。虫除け」とか言って。



私が帰ってから、その臭いを嗅いだクリスはあからさまに顔をしかめていた。





そして迎えた、始業式。


クリスは私と同じクラスに仲間入りして悪目立ちしていた。


そう、特に女子の皆さんからの熱い視線を一身に浴びていた。


うわ、あんなに見られるのやだなぁとか、疲れるだろうなぁ…ぼやっとそう考えてたら、その視線の対象はこちらに近づいてきた。


「カノン、このコ達にカラオケ行こうって誘われたんだけど、」

「あ、いいよ。行っといで?私、これから高梨君と勉強する予定だからさ。明日から診断テスト始まるし。鎌崎先生のとこも行かなきゃいけないし」


その一言を聞いたクリスの顔つきが変わった。

そりゃもう瞬時に。




「……高梨って誰?」

「同じ大学を受ける仲間だよ?なんでそんなに怖い顔してんの?」


クリスは控えていた女の子達に「行けないから。用事が出来た」みたいな事を言って誘いを断っていた。

なんだ。行っても良かったのに。

別にね、遅くなんなきゃ良いよ、何時に帰ってきても。