「……華音ちゃん、今度、連れて行ってくれる?」


へ?どこに?


「まだこのお茶、そのお店にあるかしら?」

「あ、あぁ。多分まだ、売ってると思います」

「じゃあ、今度の日曜日…。じゃ、駄目かな?忙しい?」


今度の日曜日?何も無いけど……。


「お姉さんとデート、ですかッ!?」


くわっと見開いた私の顔に恐れをなしたのか、弟サンは飲んでいた紅茶を吹き出して噎せていた。

何してんだよ、勿体ねー。


「荷物持ちで、蒼季も来るでしょ?」


何故だか知らないが、こちらも真っ赤になった弟サンは、私から目を反らしてしきりに頷いていた。


「噎せたの大丈夫っすか?顔赤いっすよ?」

お姉さんの手前聞かないわけにもいかなくて、弟サンに適当に聞いてタオルを渡したら速攻で拒否られた。

なにそれ態度悪ぃー!!


「じゃあ華音ちゃん、アドレス教えて貰ってもいい?」

「はい。じゃ、私も」


お互いに携番とアドレスを交換する。

新しく受信したそのメモリには【櫻温和】の名前。


「名前…なんて読むんでしたっけ……」


お姉さんの名前は、たしか……。


「はるか、よ。因みに弟は、蒼い季節で蒼季、ね」


温和。お姉さんにぴったりの名前だ。


「はるかさんと、あき……」

「先生、をつけろ馬ー鹿」

こんな奴、絶対先生なんて呼んでやるもんか。