「昨日は俺の姉の部屋に止めた。華音にも、昨日ちゃんと言っておいた。売られた勝負に勝つまでは、お前には手を出さないから、ってな」

「……これから四六時中、俺とカノンは一緒にいられるし。別に良いけど、何でそんな条件持ち出すの?」

「華音は今、大学受験を控えて大事な時期なんだ。だから、こういう事でコイツの精神状態を揺らしたくない」




そうか。そう言うところは教師っぽいかな。




「ところでお前、あの山を攻めた時、凱にナビして貰ってたのか?」

唐突にアキが聞いてきた。




「……いや。全くの勘だけど」


他に何がある?と首を傾げたが、アキは何処か遠い目をして表情を隠した。


日本人特有の、思考が読めないこういう表情はどうも苦手だ。




「お前とやるのが楽しみで仕方がねーよ」


去り際に俺の肩を一つ叩いて、アキはようやく出ていった。