に、しても、だ。


なんで俺達がこの山にいるって事を知ってた?

そもそもクルマを運転してたのは、コイツなのか?



もしもそうなら、日本人でも滅多に来ないこの道を、何も知らないイタリア人が知ってる訳ねーだろ。

それをコイツは一人で走って来たってか?



まさか、そんな事はあり得ない。



と、なると。


ガチャリ、タイミング良く俺の横のドアが開けられた。



「どう?結構楽しかっただろ」



にこやかに笑いを浮かべて運転席の俺を見下ろしたのは……―――。

凱。



やっぱりな。コイツが今日の事を仕組んだ張本人かよ。予想通りだぜ。


一旦車外に出て、俺と華音は改めて状況把握に躍起になった。

「えっ!?なんでクリスがここにいるのさ!?」


慌てた華音の側を離れようとはしないソイツ。


「カノンに会いに日本まで来た。それと……」


敵対視されてる、俺。


「……おい、凱。どういう事だ?お前どうせ全部知ってんだろ?つーか、どうやってこのデルタ持ち込んだ?」

俺は華音を抱き寄せ、クリスとか言うガキから目を話さずに凱に話し掛けた。



「人徳のお陰さんで、俺らには御用達の販売店とか解体屋とか整備工場がある訳。そいつらに頼んだ。まぁ解体はしてないけどよ。それから頼りになる後輩達からの情報だよ、お前らの居場所は。ファントムが今日峠を流してたら俺に教えろってね。ちなみにハンドル握ってたのは、ク・リ・ス」

この野郎。

大方現役のheavenの奴等を使ってあちこちの峠を見張らせてたのか。

そして、華音を追って日本に来たコイツを煽ってさっきのバトルを仕掛けた―――

そんなところか。

いや。

クリスってヤツ、華音の話だとイタリアのサーキットで単車のレースをやっているとか言ってなかったか?