左側の窓が俄に眩しくなった。



まさか、先生が負けるはず、ない……―――。


相手の車が私の横に着いた。



それは、先生が負けることを意味するもので。

信じがたかった。


まさか、と、視界に映る車の窓ガラスに相手の車を確認しようとした時、軽い衝撃がこちらの車に走った。


そのショックで、私はガラスに頭をぶつけてしまう。


「ヤバい、止める」


それまで無言だった先生がハンドルを大きく切り、対抗車線側にあったロータリーへ向けて車体を180度回転させてから、ようやく疾走していた車は派手な音と共に止まった。


「アツくなり過ぎた。怪我してないか!?」

「あたまうった。ガラスで」




大して強く打ったわけではないのに、少し大袈裟に騒いだのは、先生が助手席に私がいることを忘れてた、罰だ。


「……悪い……」


両手で私の頭を挟んで「明日、病院に検査しに行って?」なんて口調まで優しくなってるから、いつもとは全く違う先生の一面にびっくりするばかりだ。



「嘘。頭は大丈……」


いきなり助手席のドアが勢いよく開け放たれた。






「カノン!!」





開いたドアから、助手席に身を乗り出して、私の安否を確認してきたのは―――。







クリス、だった……―――――。