深層融解self‐tormenting

「ねー。久しぶりに山に行こうよー」

「ああ、最近一緒に行ってなかったっけ?」

「1ヶ月ぐらい行ってない。勉強のし過ぎで頭が破裂するー。ねー、おーねーがーいー!!」

「なら、この山の頂上付近の駐車場まで行けば大丈夫か。あの駐車場は廃業したホテルだし」


やったね!


最近ずっと勉強尽くしでフラストレーションが溜まっていたのだ。

これから二学期が始まると、更に過酷な受験地獄が待ち構えているなら……今だけちょっと冒険して頭を空っぽにしてみたい。


「登りから軽く攻めて行くぞ」

「りょーかい」


緩やかに加速する車の中で、水に揺れる金魚を見た。水が溢れないといいけどな。



頂上へと登る道路は、かなりカーブが多い坂になっていた。登り坂でこれをやって貰うのは、あまり好きじゃない。

下に引っ張られるあの感じが嫌だ。逆に下り坂は先へ先へと勝手に進んで行く感じがして好きだし。



「着いた。ちょっと休憩してから流すか?」

「うん。金魚の水、大丈夫かな?溢れない?」

「溢れないように水を回します。そんなに下手じゃありません」


……良かった。金魚まだ生きてる。


金魚が入った袋を二つ、目線に翳してみたが、どの金魚も元気そうで安心した。


ふと窓の外に目を向けると、サイドミラーに私が映っていて、その首筋には、さっきの最中に先生がつけた赤い痕をみつけてしまった。


「……毎回毎回……恥ずかしいってば……」


こっそりと、車外に出て夜風にあたる先生に向かって呟いた。



「じゃ、次の下りで今日は終わり、な」

「まだ遊んでいたいんだけどなぁ」


駄目。と、厳しく言った先生に駄々をこねそうになる。まだ遊びたいのにな。