深層融解self‐tormenting

それに加えて、空気がとても澄んでいて、お祭りで汗をかいた体に夜風があたって、すごく気持ち良い。


「体、冷えないか?」

「んーん。気持ちいいよ。色んな花火があるんだね。さっきのはネコ型ロボットだった」

「あれはタヌキだったろ?」


ふはは、と笑ってるうちに花火もとうとう最後の一発が終わってしまった。



夏の名残が、耳と目に焼き付いて離れない。



浴衣の赤い色。

先生が着ているデニムのシャツの、濃紺の色。

夏の匂い。

新しい草息吹の香り。

花火のツンとした、火薬の匂い。





それらをみんな落として、夏が、終わっていく。



「……我慢するつもりだったんだけど」


縁石に座って見ていた私の隣に、先生が立って私のうなじを一撫でした。


「じゃあ、我慢しよ?」


先生が我慢できる訳ないって私も分かってるのに、つい意地悪してみたくなってくすくす笑った。



「……駄目。浴衣の威力ぱねぇ。クルマの中、来いよ」


暑さでじっとりとした手は、それだけで熱を持っている。


とうとう私は、その熱に融かされた……。