深層融解self‐tormenting

赤いと派手じゃないかな?と、三面鏡とにらめっこしてたら、不思議な事に兄貴が顔を出した。

「……お前さ、今日は何時に帰んの?」

「分かんない。先生次第だし」


ふーん、と素っ気なく流した兄貴が再び口を開いた。


「……最近アイツ峠で攻めてねーよな?つまんねーって伝えとけ」

「えー!?まさかまた兄貴は先生とバトルしたいの?」


あ、ラリーって言うんだっけ?


「いや、俺はあっちは見てるだけでいい。アイツの走りは計算ずくだから見てて飽きないんだよ」



お?兄貴が先生を誉めたぞ?珍しい事もあるもんだ。

「ふーん。なら今度先生に言っとく」


髪の毛をアップにするのに四苦八苦していた私は、それを適当に聞き流した。

後れ毛が言うことを聞かない…っ!



それを見て薄く笑った兄貴は、音もなくその場を去っていた。







「かき氷っ!いちご!」

「せっかく浴衣着てても、食い気は健在かよ」


かき氷をしゃくしゃく食べる私の横で、呆れたように先生が笑う。


「だってさ。人混みで暑いんだもん。冷たいの食べたい」

「まぁ確かにな。この人の多さだし。つかビール飲みたい」

「そしたら車を運転出来ないじゃん」

「デスヨネー」



言わなくても分かるのに。つか常識でしょ。





………それにしても、暑い。


「……この人混みん中で、花火見るのも暑苦しいな。おい、かき氷一口寄越せ」

「だね。よく見えそうなとこなんて、きっと場所とりして見るんだろうね」

はい、と言って、かき氷を一匙すくって先生の口元に運んだ。