そうかな?

一応兄貴があんなだし、武術全般は習ったし、兄貴直々に喧嘩技術も教えて貰った。

もしもの時の為に、スタンガンとかメリケンサックに催涙スプレーは常備品だ。


自分の身は自分で守る、が私のモットーだし。


人とは違うこの容姿のせいで、傷付く事は幼い頃からよくあった。

染めてもいない髪の毛、カラコンなんか小学生が入れる訳もないのに。

人より目立つから、よく同性には妬まれたし、異性にはからかいの対象にされた。


もちろんちょっかいを出してきた奴は男女構わずぼこぼこにしてやったけど。


「大体さ、お前の外見とかかなり目立つけど、ハーフなの?」


痛いとこ突くなぁ、この弟サン。


「うちのお祖母ちゃんがイタリア人。私はクォーター」


弟サンはスッと目を細めて「へぇ…」と、漏らした。


「そういう反応されるから、嫌なんだよね。うちの兄貴なんかそれでよくキレる」


人とは外見が違う。


そんな差別みたいな反応に、どんだけ私達が敏感に傷付いてきたか、この人達はきっと知らない。だから……、



「すげー可愛いな、と思っただけ」

「……は?」


いや、待て。

今、なんて?


「段ボールに入れられた猫みたい。なんか可愛い。放っとけない」

「……いや、放っておいて下サイ」


待て待て。今までこんな反応してくる奴はいなかった。うん。


「珍しいね。蒼季が女の子にそういう事言うの」


お姉さんが興味深げに私と弟サンを見比べている。