深層融解self‐tormenting

歩きながら高梨君はオープンキャンパスで学んだことや聞いたことを細かに教えてくれた。

その時、資料を大量に貰ってきたらしいんだけど、そのコピーを取ると約束してくれた。


いい人だ。



「……雲母さんはさ、なんであの大学を受けようと思ったの?」

うーん。話せば長いから……。

「農家をやってるお婆ちゃんの手伝いをしたいから、かな」

飲んでるいちご牛乳の紙パックをぱこぱこさせながら、無難にそう答えておいた。



すると高梨君は笑って「俺も一緒」

「婆ちゃんちが酪農家でさ、乳牛育ててる。……牛も風邪引いたり病気になると、投薬したり抗生物質打ったりするんだけどさ……」

「牛にもそんな事するの!?てか、風邪とか引くんだ…」

「うん。で、投薬された薬が一滴でも搾った牛乳の中に混ざってると、その牛乳は出荷できないんだ。たとえタンク一杯の牛乳でも、破棄しなきゃいけない」

「棄てんの!?」

「……だからさ、牛達の、体調管理が出来る獣医師になりたいんだ、俺」

「……私も、一緒かも。でも勉強したいのは経営系になるかな…?いや、栽培系もあるかも」


ぷふっ、と高梨君が吹き出した。


「俺は獣医学部。二学期になったらさ、たまに一緒に勉強しようか」



勉強会かな?平日なら良いけど……。


「日曜日は駄目だけど、平日の放課後なら大丈夫かな?分かんないとこ教えてね」

「こっちこそ」




いやいや高梨君、私の可哀想な成績を救ってやってね。


そんで、一緒に大学受かると良いね。