「資料はネットでしか入手出来なかったけど、とりあえずコピーを渡しとくな。スケジュール的には、ギリギリ推薦が間に合うかどうか……ってとこか。今から各教科の先生と話し合うから。お前は国社英は文句なしなんだよな。あとの教科……。でも、ま、数学に関しては1学期後半から随分伸びたもんな」

「えへへ」


それは、ねぇ。


「櫻くんのお陰でな」

「は!?なんで鎌崎先生まで!?」


まさか、アイツ……。



「春臣が言い振らしてるけど?良かったなー雲母。やっぱり持つべきものは、数学教師の彼氏だな」


先生それフォローになってない。


「残念ながら、F大のオープンキャンパスは先週だったんだよなぁ……。一応受験希望者が行って説明受けたみたいだけど、話を聞いてみるか?」



なんとなくその人が何を聞いてきたのかが気になった私は、こくっと頷いた。


「元陸上部の奴で、高梨明って奴だ。引退してるから今日来てるかどうか分からんが、一回会って色々聞いてこいよ」


「分かった。じゃあ、また何かあったら連絡するね」

「おう。まず、勉強頑張っとけよ!」


挨拶をして職員室から退室すると、そのまま陸上部の部室に行ってみた。


その高梨君とやらがいるかは分からないけど、とりあえず会って、どんな感じの大学なのか、話を聞きたかった。