「……喉乾いた……」

「飛行機の中、乾燥してたのか?」

いいえ、あなたが鳴かせ過ぎたからです。


とは言えない。

だってキスマークという弱味があるから、今日は言いなりになるしかない。

でも、クリスの事も結局みんな白状させられたんだけど。

だからもう疚しい事は無いんだけど。



……にしても。

「せんせ、本当にどうしたの?身体中痣だらけで腫れてるよ?」

そう。


あの後、飛行場からそのまま近場のホテルに連れ込まれ、嫌と言うほど先生の『深い』愛を注ぎ込まれたわけなんだけど、コトが終わって先生の裸体を見て、改めて驚いた。



なんでこんなに怪我してんの!?



「……お前には関係ないから。つか、階段から落ちた」


どんな階段落ちだそれ。


「……先生が何も言いたくないなら、もう聞かないけど。何かあったら教えてね……?」


私がイタリアに行ってる間に先生がとんでもない事件に巻き込まれたんじゃないかと思えば、冷や汗が出てくる。

自分は何をしていたんだろう?と。


「お前が心配することじゃねーよ」



そう言って、先生が髪を鋤いた。

この瞬間が何より好き。



「お前の浮気は心配する事だろーけどなぁ」

だからみんな白状しました!!


「他の男とキスとか許さねぇ。忘れるまで消毒」

そう言って覆い被さってくる先生は、もうすぐホテルの休憩タイムが終わるって知ってるのかな………?

なんて、朦朧としながら考えた。