が、問題は先生だ。


『これ』……即ちクリスがつけてしまったらしいキスマークを先生に見つかってから、背中を流れる汗が半端ない。

ヤバい。それしか言えねぇ。



「あのこれは信愛のキスと言いましてイタリア人は何事も大袈裟なスキンシップをとりたがるからしてその深い意味があるわけでは……」

「じゃあヤろうか」

「は、何をでしょう?」

「『深い意味がある』行為を」

間違いなく今先生の瞳が紅く光った!変なスイッチ入ったよ!!


「じゃ、俺土産品持って先に帰ってるね~」


春臣このやろう逃げやがった!


「せ…先生は自宅療養中だって言うし、早く帰ろうよ…」


後退りながら待ったをかけたが、既に聞く耳持たず。

「近場のホテルで休憩すれば良くなるから」

にっこりと笑うこの笑顔に逆らう術を、悲しいかな私は持っていないんだ。