「先生!……と、春臣」

「なんで俺がおまけな訳?」

だっておまけじゃん。というか!!



「先生、その怪我どうしたの!?顔の痣、酷いよ!?」


私はつい先程、飛行機を降りたばかり。

そして迎えには何故か春臣と先生。

兄貴の凱が来るものだとばかり思っていたから、ちょっと驚いた。


「……大丈夫。凱の方がもっと酷いから」


事も無げに言う春臣の言葉に耳を疑った。


「……は?…え?」



どういう意味だよ?

先生の顔は目の上が少し腫れて青痣になってるし、きっと身体中そんな感じなのか時々顔をしかめている。

それに兄貴がこんな先生より酷い状態って……?



「凱は左腕折れてて入院中。だから、俺達が迎えに来たの。お前の親父さんから『華音を迎えに行ってやってくれ』って頼まれたのは俺なのに、お前の彼氏はどうしても行くって聞かないわけ。自宅療養中なのに。悪化したらどーすんのこれ!?」

「……ごめん。今耳聞こえてなかった。誰の腕が折れたって?」

「お前の兄貴。雲母凱って名前の」



………嘘だ!!!!


「何で!?」


事故!?袋叩き!?

じゃないと兄貴がフツーの喧嘩なんかでそんな目に遇う訳ないじゃん!!


「相手は誰でもいいだろ。……それより」

充電、と先生が後ろから私を抱き締めた。


「こんなに一週間経つのが長く感じたのは初めてだ」



先生は抱き締めるだけじゃ足らないのか、首筋に顔まで埋めてきた。ところが。



「……華音。なにこれ」

何って何が?


私が顔を上げて先生を見ると、般若のような雰囲気をした先生が私を見下ろしている。


「耳の下の首筋。これ……」

「あー。キスマークだねぇ。なに華音。向こうでそーゆーコトしてきたんだー?」


にやにや笑いながら茶化す春臣は後で蹴っ飛ばす!!