深層融解self‐tormenting

お婆ちゃんの豆料理を久しぶりに食べながら、話題はクリスの事に及んだ。




「クリスの事、誰だか分からなかったでしょう?私でさえ、たまに分からなくなるもの。小さい頃とは顔が全然違ってて…ねぇ」

「お婆ちゃんでさえ分からないなら、私が分かんなくても当然だよね」

「最近益々男振りが良くなったからね。村の娘達がほっとかないだろうね。……でもクリスは、なかなか靡かないって。ファビオの一番下の娘が今13才なんだけど、ジリジリしながらクリスを見てるんだよ」

「へーぇ。そうなんだー」


ファビオの一番下の子って、私より年下だったんだ。

小さい孫がいるイメージしかないや、ファビオって。



「……クリスはね、カノンが来るのを、とても楽しみにしてたんだよ。今日も朝から自分のバイクで迎えに行こうとしてたんだから。止めるのが大変だったわー」



その様子を思い出してか、お婆ちゃんが笑う。


「小さい頃、たまにいっしょに遊んだだけのお前を、あの子はずっと思ってたみたいでねぇ。他の子には目もくれなかったんだよ。それはもう、みていて歯痒いぐらいにね」

「……だってクリスってモテそうじゃん。なんで、私だけ?」

「さあ……ね。私にも分からないよ」


お婆ちゃんはそう言って、また少し笑った。



いや、もしかして、これはあれか?

よくある【幼馴染みがいきなりイケメンになっていて、彼にプロポーズされちゃいました、テヘペロ】のパターンか!?