深層融解self‐tormenting

身動きが取れないから、仕方なくクリスの隣で大人しく、彼らの会話を聞いていた。



「……こないだウチに殴り込んで来たの、あれはやっぱりデュリオの手下の奴等だった。クリス、どうする?」

「向こうが先に手を出してきたんだろ。だったらやり返さない手はねぇよ」

「人数じゃこっちが負けてるけど、大丈夫なの、そこ?」




………うわぁ。なんか如何にも『不良です』みたいな感じ。


あれ、でもここでの立場って一体……。



「ね、クリスがこのチームってかグループのリーダーなの?」


お互いの力関係が分からなかったから、思わずそう尋ねてみた。

すると、スキンヘッドのエドアルドが「なんだ、俺達のボスはお姫様には何も言ってないのか?」と、不思議そうにクリスを見た。



「……グループってもんでもないけど、一応ここら辺の若い奴等をシメてるのは、俺。名前も覚えてない手下もいるけどな」



はにかんだように顔を少し染めて俯くクリス。

……いや、褒めてないぞ。チームのリーダーとかトップとかボスなんて知り合いに一人いれば十分だ。



なのに。



「折角だから、今夜の集まりでカノンを紹介しようよ!」


さも『名案だろう?』とドヤ顔をするベッティーノを張り倒してやりたいできるものなら。