深層融解self‐tormenting

「クリスのオンナって……。初めてじゃない?ここに来たのは」


ストレートの黒髪をさらさらと靡かせて、ベビーフェイスをした男の子が、大きい目を更に大きく見開いてそう言った。




ええ勿論初めてですが何か。


「あんまりオンナで遊ばないヤツだったしな」


そう答えたのは、癖っ毛を短くしたやや強面のオニイサンだ。

できればこの人の近くには行きたくない。だって雰囲気怖いもん。


「オンナで遊ばなかったクリスの大切なお姫様だ。お前ら、あんまちょっかい出すんじゃねーよ 」


と言ったのは、トスカーナの太陽にきらりと眩しくスキンヘッドを光らせた……オジサンに見えるけど。



その他にも、何人がが興味津々で私を見つめている居心地の悪さと言ったら!


こっそりクリスの服の裾を引いて、詰問した。



「俺のオンナってどういう事 !? 私、ちゃんと日本に彼氏がいるって言ったよね!?」

おそらく180センチはあるだろうクリスを下から睨んで、文句をつけた。

するとクリスが屈んで私に顔を近づけ、「向こうは向こう、こっちはこっち」などと言ってニヤリと笑う。