何があっても決して逃がすまいとしているかのように、強く私を捉える指を、腕を、振り払うことは、もう私には、出来ない……。



「なら、もう離すな。先生のばーか!」



悔し紛れにそう言ってやった。




囚われたのは、私。




文字通り、先生の胸の中に羽交い締めされてしまった。



「……合コン行った」


は?こんな時によく合コ………。


「ミニスカ履いて。盗撮されて。あんだけ合コン禁止したのに」


あれ?私のこと?しかもバレてる?


「……行った。だってムカついてた」

「あの写真見たとき、俺の方がムカついた。写真は全部消したけど」


……あの男子達、先生の授業受けてたのか。

それは可哀想に。きっと虐め抜かれただろうな。


「……髪の毛も、切った。俺が知らない間に」

「失恋したから」

「してねぇ。戻せ。俺がお前の事で知らない事があるのが嫌だ」



駄々っ子か、鬱陶しい。


「はー?無理」

「………嘘。可愛い。誰にも見せたくない。独り占めしたい」

「……止めれ変態」


そう言って先生の腕をべりっと剥がしたら、ニヤリと笑う先生の顔が目の前にあった。


「お前さ、変態変態いうけど、イミ知ってんの?」


イミって、変態は変態じゃん。


「……性的倒錯があって、性行動が普通じゃない奴のこと。ちなみにお前限定で」

「……いや、そんなリミテッド要らない。むしろ迷惑」

先生の目が赤く光ってるように見えるのは、気のせいなんだろうか?

「もう体に叩き込んでやるから」

……あれもしかしてこれ死亡フラグ(死語)ってやつじゃない?