私はいつの間に、こんなに弱くなったんだろう?



「泉野が言ってることは信用するな。何を言ったか知らねぇけど」

「……先、生と、泉野先生、やり直すからっ…て」

「ありえねーよ」

「あの時、キスマーク…つけてた。泉野先生が……。そんで、お風呂入ってたでしょ…先生……」

「俺は知らない。アイツに触ってもいない」

「温和さんに、頼まれて…。ご飯作るの、楽しみに、してた…」

「俺も待ってた。アイツに邪魔された。すげぇ腹立った」

「せん、せが、何を考えてんのか、分かんない…っ」



止めようとすればするほど、涙は止まらなくて、自分でも歯痒くなる。

私はこんな奴じゃなかったのに。





これじゃ、まるでただの恋するオンナノコじゃないか。


「……華音のこと」


私の事が、どうしたのさ?


そう思って上を見上げた。


切なくて苦しそうな、先生の顔。


「お前の事しか頭にねーよ」

背中に回る手に力が入った。それは指先の一本一本にまで。

背中が、熱くて痛い。