水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 


夏休み。

氷雨が事故ったあの日から、
また私たちは、何時もの日々が始まって行く。

時雨と飛翔は、
今も医学部を目指して受験勉強に勤しみ続ける。


氷雨は、事故のあの日から
一日も欠かすことなく、多久馬総合病院の病室にいるであろう
あの女の子の元へと通っているみたいだった。



スタンドのバイト、多久馬総合病院。
そして相変わらず、小母さんとの距離は開いているのか
家の中には戻らず、金城家の向かい側にある倉庫の方で
寝泊まりしているみたいだった。


バイクを入れている倉庫。


その場所には、事故の時に犠牲になった
氷雨のバイクが片付けられていて、夜な夜なその倉庫の中で
バイクをばらしては、友達と何かの作業をしているみたいだった。



レンタルショップの夜バイトからの帰り道、
玄関を潜る前に、
チラリと倉庫の光を感じながら私は家の中へと入っていた。



バイトから帰った後も、時雨は勉強タイム。


そんな時雨にあわせるように、
テキストを持ち込んで、時雨の隣で勉強を始める私自身。




私を囲む周囲の人は、
凄く輝いて見えて、私自身には何も存在しないと思えてしまう。



どれだけ医大進学に向けて、受験勉強を頑張っていても
時雨や飛翔と出遅れていると思えてしまうのは、
私自身が今も、『医者になる』っと今だ、明確に描き切れていないから。



表向きの、医大進学を夢見て受験に勤しむ私の心と、
私の本音である、不安だらけの時間。



そんなギャップだけが自分を更に追い込み続けていた。