「あーごめんなさい。
私は佐倉です。
藤と一緒に住んでいたのよ、昔」


佐倉…

この人が佐倉さん?


藤と一緒に指輪を選んでくれた…



「アズ、この人が佐倉さん。
今は結婚して名字が変わって佐倉になった。


“さくら”じゃねぇぞ」



その話はやめようよ。

あたしの勘違いだって分かったんだから。


藤はクスクスっと笑いあたしの頭を撫でてくれた。


「あんたもそんな優しい顔をするのね。
そんな顔をするから社員から告白されるのよ」


えっ…藤って告白されていたの?

あたし知らない。


「だから指輪をはめるんです。
指輪をはめている人に告白してくる人が減ると思うので」


「減るといいわね。
この後は2人とも出掛けるでしょ?
これでも持っていきな」



そう言って手渡された箱。


「サンドイッチ」


恵子さんが教えてくれた。