「べラルディ様、お待ちしておりました。 只今お席までご案内致します」



レストランの入り口に立っている従業員の男性は、景色が綺麗に見渡せる席へと案内してくれた。



「すっごく綺麗だね……」



夜になりかけている景色は、夜景とはまた違った感動がある。


あまりこういうところで食事をする事がないから、少し緊張する。



「葵の方が綺麗だよ」



カルロの言葉に緊張が恥ずかしさへ変わっていく。


このくさい台詞をサラッと言えちゃうのは外国の人特有だと思う。


日本人は言うのも言われるのも苦手だ。



「ところで料理は……」

「コースで頼んでるんだけど、嫌だった?」

「ううん! そんな事ないよ。 ありがとう」



慣れてる。


カルロは絶対慣れてる。


こういう場にも女性をエスコートする事も。


隆輝とは大違い……って、隆輝と二人でこういう所に来たこと無いけどね……。


あの日橘さんとは食事もしたのかな……?