「あ、葵お嬢様ぁぁぁ!!」



廊下を歩いていると、内藤さんが慌てて走ってきた。


ギョッとしていると、荒木さんのため息が聞こえた。



「内藤、廊下を走るな」

「す、すみません」



肩を窄め、しゅんっとする内藤さん。


この二人はキャラはまったく違うけど、いいコンビだと思う。



「それで、走ってまで葵お嬢様にお伝えしたい事はなんだ」



ハッと顔を上げた内藤さんは、また落ち着きをなくした。



「あ、葵お嬢様にお会いしたいと、いらっしゃってます」



一生懸命なのは分かるけど、私の頭にハテナが浮かんだ。



「誰が来てるんですか? 隆輝?」



隆輝?


っと聞いてみたものの、そんな筈ないかと自分で突っ込んでしまった。



「あ、え、あのっ、カ、カルロ・ベラルディ様という方が……」

「え!? 嘘でしょ!?」



眠気が一気に吹き飛んだ。


何で?


何でカルロが家に!?



「あ、あの……如何致しますか? 今は客間でお持ち頂いているのですが……」



一応クラスメイトだし、知らんぷりして追い返すわけにもいかない。



「カルロのところへ案内して下さい」

「分かりました」



朝から気が重い。