最後は良い雰囲気で終わった、ととっていいのだろう。


シンデレラはお姫さまとなり、王子は最高の伴侶を手に入れる。


めでたしめでたし。


例年に見ない出来の舞台に、生徒も教師も惜しみない拍手を送った。


劇に関わった生徒たちが横一列に並び、プロの舞台さながらにお辞儀をする。


真ん中にいる照れたような顔をした有志に、シンデレラ役の小さな女の子。


それと右側の微妙な位置に真昼。


有志頑張ったね、真昼は違う意味で頑張ったね、と他の生徒に負けじと拍手をしている間に、二年三組の席で、シンデレラ役の女の子に恐ろしい眼差しを向けているお嬢さんがいた。


ふわふわの髪に隠れた色素の薄い瞳に、怒りを浮かべて。


しかし、その時はわたしの預かり知らぬところで、このお嬢さんがこの文化祭でとんでもないことをやらかしてくれることになるとは、想像もしていなかった。